織りラベルや洗濯表示ラベルの収縮・しわ・印字位置のずれは、検品では見逃されやすく、販売後に表面化しやすい不良です。納品時に合格だった幅30mmのメインラベルが、2回の洗濯後に28mmになり、印字が傾き、端が波打ち、衿の縫い目に突っ張る。収縮はランダムな誤差ではなく、素材・裁断方法・後加工・洗濯条件で決まる物性値です。本ガイドでは収縮の発生源、方式ごとの違い、洗濯後の測定方法、洗濯後寸法から製織寸法への換算を整理し、最後に仕様書へそのまま書ける条項を掲載します。

1. 収縮はどこから来るか:3つのメカニズム

同じ糸ロットから織った2枚のラベルで収縮率が2倍違うことがあります。作用するメカニズムが異なるためです。メカニズムを特定して初めて対策が立てられます。張力の自然な戻りは洗濯前のなじませで対応でき、熱カットによる熱収縮は裁断方式そのものを変えるしかありません。

  • 製織張力の戻り:経糸は織機上で張力をかけられており、下機後に戻る時間が必要です。織り上がり直後に裁断・縫製したラベルは収縮が大きくなります。予備収縮加工や十分な吸湿なじませでこの成分を大幅に減らせます。
  • 熱カットと熱セットによる熱収縮:熱カット端、熱セット、熱プレス折りは局部的な収縮を生みます。裁断温度が糸の融点に近いほど影響域が広がり、端が波打ちやすくなります。
  • 洗濯・乾燥による湿熱収縮:繊維は湿熱下で再配列します。ポリエステルとナイロンは高温洗濯とタンブラー乾燥で最も収縮し、綿と再生セルロースは膨潤後の収縮として現れます。洗濯温度、タンブラー乾燥、柔軟剤の有無で結果が変わります。

2. 素材と裁断方法による収縮率の違い

下表は一般的な組み合わせの目安レンジです。実際の数値は織機張力・セット加工・洗濯条件で変わるため、必ず双方の実測値で確認してください。なお経糸方向は張力の影響を直接受けやすく、幅方向の収縮が長さ方向より大きくなるのが一般的です。

素材と端処理30℃弱洗後の目安収縮率挙動と注意点
サテン織りラベル(熱カット端)長さ1–2.5%、幅2–4%表面が平滑で文字が鮮明。熱カット端は洗濯後にカールしやすいため刃温度の管理が必要
平織りラベル(熱カット端)長さ1–3%、幅2.5–4.5%柔らかくコストに優れる。収縮はサテンよりやや大きく、洗濯表示ラベルや内側ラベルに適します
厚手ジャカード(平カット後折り)長さ2–4%、幅3–5%立体感は高いが厚みがあり、洗濯後に図柄位置がずれやすい。折り返し部は局部的な収縮が重なるため別途余裕が必要
二重織り耳ラベル(端を切らない)長さ0.5–1.5%、幅1–2%最も安定し、毛羽やカールもありません。ただし幅が固定でレイアウトの自由度は低く、標準サイズの大量生産に向きます
コーティング印刷洗濯表示ラベル長さ1–2%、幅2–3%情報量が多く印字も明瞭です。コーティングと基布の収縮差で折り目に微細なひびが入るため、高温タンブラー乾燥は避けます

3. 洗濯後の測定手順:3回洗濯と同一基準点

収縮率は測って初めて意味を持ちます。「縮みません」という口頭の約束は効力を持ちません。以下は実行可能な手順です。海外バイヤーは通常 ISO 6330(家庭洗濯手順)または AATCC 135(家庭洗濯後の寸法変化)を引用し、どちらも洗濯前後の測定と変化率の算出を求めます。

  1. 同一ロットから端切れではなく完全なラベルを3枚取り、洗わない1枚を寸法と色の比較用に対照として保管します。
  2. 洗濯前に耐色落ち性のペンで各片に基準を付けます。例えば長さ方向と幅方向にそれぞれ50mmまたは100mmの線を引き、線端は折り目や穴を避けた平坦な位置に置きます。
  3. 想定市場の慣行に合わせて洗濯条件を選びます。通常は30℃または40℃の標準コース、標準洗剤、3回洗濯。吊り干しとタンブラー乾燥は別々に行います。結果が1ポイント以上異なることがあるためです。
  4. 洗濯後は同じ温湿度でなじませてから同一基準点を再測定します。収縮率=(洗濯前−洗濯後)÷洗濯前×100%。長さ方向と幅方向、3サンプルすべてを個別に記録し、最悪値を設計根拠にします。

4. 余裕の設計:洗濯後寸法を製織寸法に換算する

買い手が求めるのは「洗濯後寸法」で、織機が作るのは「製織寸法」です。関係は掛け算ではなく割り算です。製織寸法=洗濯後寸法÷(1−収縮率)。洗濯後30mm、実測収縮率3%なら、30÷0.97で約30.9mmを織ります。1.03を掛けても3%付近では同じですが、収縮率が8%になると誤差が現れます。

  • 生地を測ってからラベルを決める:生地が5%収縮し、ラベルが1%しか縮まないと縫い付けたときにしわになります。ラベルと生地の収縮率差は2ポイント以内を目安にし、それを超える場合は後貼りや熱転写に切り替えます。
  • 補正を完成寸法に隠さない:仕様書には「製織寸法」と「洗濯後寸法」の両方を、洗濯条件とともに記載します。1つしか書かないと、サプライヤーは自社の慣例で解釈し、必ず食い違います。
  • 折り位置と穴位置は別に余裕を取る:折り返しや包み部分の局部的な収縮は全体の収縮率に加算されます。穴位置や印字位置の中心からの距離も換算しないと、洗濯後に「文字が左寄り、穴が上寄り」に見えます。

5. 同じ製品内での主ラベルと洗濯表示ラベルの収縮差:しわと浮きの原因

よくあるクレームは「洗濯後に衿元がしわになり、洗濯表示ラベルが浮く」というものです。検品時には見えません。原因は多くの場合、2種類のラベルが異なる素材と後加工で、収縮率が2〜3ポイント違うことです。同じ縫い目に縫い付けられているため、洗濯後に一方だけが縮み、余った分がしわとして現れます。

  • 同じ型の主ラベルと洗濯表示ラベルは、できるだけ同じ素材系列・同じ予備収縮加工を選び、収縮率差を1.5ポイント以内に抑えます。
  • 縫製時に洗濯表示ラベルへ少し余裕を持たせます。辺全体を細かくかがり縫いせず、中央に5〜8mmの自由部分を残すか、1点留めにして両端が動けるようにします。
  • 情報量の多い洗濯表示ラベルは、コーティングされた紙状素材より織物基材を優先します。織りラベルに収縮率が近く、しわのクレームが明確に減ります。

6. 発注前に仕様書へ書く6項目

項目記載例
寸法の基準製織寸法と洗濯後寸法を分けて記載(例:31mm/30mm ±1mm)
公差の方向片側公差かどうかを明記(例:幅はマイナス側のみ、縫製時の張り出しを防ぐ)
洗濯後の要件洗濯条件と許容収縮率の上限を記載(例:30℃3回洗濯、収縮率3%以下)
測定方法ISO 6330またはAATCC 135を引用し、乾燥方法と基準点の取り方を明記
生地との整合生地見本とその洗濯後収縮率を提示し、ラベルの収縮率差を2ポイント以内とする
検収の基準抜き取り数、外れ品の扱い(特採・手直し・補充)、保存見本の期間を明記
💡 ヒント:収縮の問題は、洗濯試験を実際に行えばほぼサンプル段階で判明します。生地見本、想定する洗濯条件、洗濯表示の言語を当社にお送りください。サンプル作成時に洗濯前後の比較を行い、製織寸法と洗濯後寸法の両方を確認書に記載します。

関連記事

洗濯後の収縮やしわが出た製品・ラベルをお持ちですか。生地見本、洗濯条件、目標寸法をお送りください。製織寸法と洗濯後寸法の両方で確認書を作成し、収縮率データをサンプル報告に記載します。サンプルは3〜7日で発送します。

収縮試験とお見積りを依頼 →