副資材は数量も金額も小さく、誰も管理しないまま、数年後には同じタグに4セットの版、同じメインラベルに3つの色番、追加発注時に承認サンプルが見つからないという状況になります。副資材のコード化と版ライブラリ標準化は、吊り札・織ラベル・洗濯表示ラベル・袋をすべて番号・管理責任・保管サンプルを持つ「標準部品」にする取り組みです。追加発注、色合わせ、供給先変更が記憶に頼らずに回ります。
本記事では、そのまま使えるコード規則、版台帳に登録すべき項目、色見本庫の運用方法、そしてコードを仕様書と注文書に書き込み、供給側と同じ言葉で動くための方法を示します。
1. 副資材が散らかる三つの根本原因
- 一意の番号がない:同じタグが、デザインでは「黒金タグ」、購買では「SK26タグ」、工場では「先月のあれ」と呼ばれます
- 版ライブラリと帰属がない:印刷版、抜き型、ジャカード紋紙が複数工場に散在し、誰が保有し取り出せるか分からないため、追加発注で版を起こし直すことになります
- 色に番号がない:「オフホワイト」「クリーム」「アイボリー」の書き方が人によって異なり、工場が独自解釈で調色するため、同じ品番がシーズン間で目視できる色差になります
2. コード規則の作り方:5セグメント構造
良いコードは複雑である必要はなく、各セグメントの意味が固定されていれば一目で分かります。「カテゴリ—素材・加工—サイズ—色—版」の5セグメントを推奨し、ハイフンで区切り、英大文字と数字のみを使います。
| セグメント | 意味 | 例 | よくある誤り |
|---|---|---|---|
| 第1段:カテゴリ | タグ HT、織ラベル WL、洗濯表示ラベル CL、ポリ袋 PB、紙袋 PBG | 工場独自の呼称を使い、供給先が変わると通じなくなる | |
| 第2段:素材・加工 | KRA クラフト、ART コート紙、CTN コットン、SAT サテン、TFL 綾ジャカード、FOIL 箔押し | 同じ素材に二つの略号ができ、台帳自体が乱れる | |
| 第3段:サイズ | ミリ単位の数字のみ:9054は90×54mm。織ラベルは幅と折り、30Fは30mmセンター折り | 単位と表記の混在(90X54 / 9×5.4 / 大) | |
| 第4段:色 | 統制した色名表とコード:BLK 黒、WHT 白、NAT 生成り、PNT123 は指定Pantone | 形容詞で色を指定(もっと濃い黒)し、実行口径がない | |
| 第5段:版 | 01から始まる2桁。改版ごとに増やし、旧版は廃止としつつ台帳に残す | 改版後も同じ番号を使い、工場が新旧を混在させる |
この規則では、90×54mm・クラフト紙・黒・初版のタグは HT-KRA-9054-BLK-01 です。一目で内容が分かり、メール・仕様書・注文書・倉庫ラベルで同じ文字列を使えます。
3. 版ライブラリ台帳:必ず記録すべき項目
台帳の目的は一つです。どの副資材についても、いつでも誰でも「版はどこにあり、使えるか、追加発注に何日かかるか」に答えられること。以下の項目が一つ欠けると、台帳は徐々に信頼を失います。
- コードと名称:正式コードと検索しやすい通称の両方を登録
- 版の種類と数量:印刷版、箔版、抜き型、エンボス型、ジャカード紋紙、スクリーン版をそれぞれ明記
- 保管場所:どの工場、どの機械の横、どの棚か、一回で見つかる精度で記載
- 帰属と費用:版代の負担者、買い取り済みか、供給先変更時に回収できるか。紛争が最も多い項目です
- 状態と寿命:使用可・要補修・廃棄の3段階。印刷版と抜き型には使用回数の上限があり、超過はロット差を生みます
- 承認サンプルの写真と実物:実物は最低2点、ブランド側と工場側に各1点。写真は日付付きで保管します
4. 色見本庫:色を再利用可能な資産にする
副資材の色は、面積が小さく素材が安定しているため、生地より標準化しやすい分野です。常用色を実物の色見本庫にし、1色につき1コード・1枚のカード・素材別の対応表を用意すれば、次回は「NAT-03を使う」と言うだけで再調色が不要になります。
- 1色1カードの実物化:コード、Pantone参照、対応する紙と糸、作製日を記載
- 素材間の対応表:同じ色番でもコート紙・クラフト・サテンで見え方が異なるため、素材ごとの許容差を明記
- 標準光源での比較:色見本庫はD65など固定光源か北向き自然光で比較し、天井照明で判定しない
- 継続的な保守:シーズンごとに色見本を追加したらコード台帳と対応表を更新。廃止色は使用停止としつつ記録を残し、旧注文の追跡に備えます
5. 仕様書と注文書に書き込む:供給側と同じ言葉にする
- 仕様書のヘッダーにコード:最上部とフッターの両方に記載し、転送時に版違いが起きないようにします
- 注文明細にコード+版:例:HT-KRA-9054-BLK-01。工場の行単位の確認返信は口頭確認より確実です
- 版の廃止は書面で:旧版廃止時は正式な連絡を送り、返信を保管します。後日旧版で生産して損害が生じるのを防ぎます
- 入庫ラベルの同期:棚ラベル、バーコード、システムの品番を同じコードに揃えれば、棚卸しで誤認しません
6. 導入の3ステップとよくある抵抗
- まずコード、整理は後:台帳完成を待つ必要はありません。生産中の20〜30品目にコードを振り、仕様書と注文書に載せ、項目は使いながら埋めれば、3か月がかりのシステム構築より早く効果が出ます
- まず1品目で試す:色で最も問題が出やすく追加発注が多い品目(多くはタグかメインラベル)を選び、コード・色見本・承認サンプル・台帳の四点を一季で回し、洗濯表示ラベルと袋へ横展開します
- 購買フローに組み込む:コードのない購買依頼は見積りに出さない。この一点がどんな規程よりも効き、2〜3シーズンで定着します
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