初回のハングタグは顧客に好評でした。3か月後の返単で届いた品は、色が違う、紙が柔らかくなったと言われます。工場が調べても版は同じ版、紙も同じ350gと書いてある。原因は、初回の生産条件を誰も記録していなかったことです。副資材の返単のばらつきは、技術的な難問であることは少なく、多くは記録の欠落です。

本稿では5点を整理します。返単のばらつきの4つの原因、品番ごとに残すべき5つの記録、同じ坪量でも風合いが変わる理由、色差の許容値をどう書くか、版と抜き型をいつ作り直すかです。

1. 返単のばらつきを生む4つの原因

同じハングタグの2回目は、想定以上に変数があります。紙が別ロットの紙厂由来なら白度と嵩(かさ)が変わります。インクが別ブランド・別ロットなら特色が半階調ずれます。箔押しの温度と圧は作業者の感覚に依存し、光沢と密着が変わります。外注先が別工場になれば、抜き型の角の丸みも変わります。個々の差は許容内でも、重なると目に見えて別物になります。

  • 紙:同じ坪量でもパルプ種と塗工量が違えば風合いと白度が変わります。再生パルプは特に不安定です
  • インク:特色インクのロット差、4色のドットゲインの違い。ベタ面が最も早くずれを見せます
  • 後加工:箔押しの温度・圧・時間、エンボス深さ、ラミネート種別(グロスとマットは混用不可)
  • 設備と外注:抜き型の摩耗、機台の違い、外注先の変更は、成品寸法とエッジの手触りを変えます

2. 返単ファイル:必ず残す5つの記録

返単が一致するかどうかは、初回に何を残したかで決まります。品番ごとに、電子と現物の両方のファイルを作ります。欠かせないのは5つです。顧客承認サンプル、紙見本と坪量記録、色見本と色差記録、版と抜き型の番号、工程パラメータ表。ファイル番号は顧客注文番号と社内品番の3つで対応させます。そうしないと半年後には誰も探せません。

記録項目具体的な内容保存形態
顧客承認サンプル顧客署名の初回品。日付とマニュアル版を記載現物+スキャン
紙見本紙厂、坪量、パルプ種、塗工、白度A4現物見本+パラメータ記録
色見本特色配合、Pantone番号、実測ΔE現物色見本+データ表
版と型版番号、抜き型番号、抜き線図番号台帳+電子図面
工程パラメータ箔押し温度・圧、ラミネート種、エンボス深さ指示書と一緒に回す

3. 紙とフィルム:同じ坪量でも同じ風合いにならない

350gは重さであって仕様ではありません。同じ350gの白板紙でも、バージンパルプと再生パルプでは白度が数ポイント違い、塗工量が2g違えば風合いは腰のある状態から柔らかい状態へ変わります。嵩高さが違えば、同じ坪量でも厚みが5%変わり、袋に詰めたときの見え方がまったく違います。「350g白板紙」とだけ書いて返単すれば、供給側は在庫から出荷するので、差が出るのは必然です。

  • 書き方は具体的に:坪量+パルプ種またはブランド+白度+塗工+同一ロット指定の有無
  • フィルムも同じです。OPPとPETでは腰の強さが違い、マットとグロスでは摩擦係数が異なり、自動包装機での挙動が変わります
  • 少量の返単なら同一ロット指定が可能ですが、大量なら製紙工場の枠を先に押さえます。繁忙期は特に必要です

4. 色:許容値は数字で書く

返単の色確認は「前回と同じ」では足りません。色差はΔEで表して初めて意味を持ちます。ハングタグの大面积ベタはΔE 2以下が目安、織りラベルは糸と製織の制約で3まで緩和、箔押しと特色は材料の影響が大きいため双方で数値を取り決めます。分光測色計で同一光源・同一箇所を測るか、少なくとも標準光源箱でグレースケールと比較し、実測値を記録します。「合格」の二文字だけでは不十分です。

  • 光源と観察角度を指定し、D65で判定します。蛍光灯や窓際での比色は避けます
  • 実測ΔEとグレースケールの級数を記録します。合否だけでは不十分です
  • 顧客にブランド色見本がある場合はそれを基準にします。画面表示やインクジェット校正刷りを基準にしないこと

5. 旧版と旧型:作り直すべきタイミング

版にも抜き型にも寿命があります。オフセット版は一定枚数を超えると網点が変形し、抜き刃は使うほど角が丸くなり、箔押し版は高温で酸化します。少量返単なら旧版を使えますが、初回品で刃線のバリと網点の潰れを重点確認します。大量返単、または前回生産から1年以上経つ場合は作り直しをおすすめします。作り直し費用と帰属は初回発注時に決めておくべきで、返単時に協議するものではありません。

💡 ヒント:返単の見積依頼には、初回の承認サンプル写真と色見本番号を添付します。供給側が記録を直接参照でき、価格も納期も精度が上がります。「前回と同じで」の一言だけでは、リスクを次の出荷に移すだけです。

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返単で前回と同じ仕上がりになるか不安ですか。前回ロットのサンプル写真、坪量、色番をお送りください。同じ条件で作り直し、紙見本・色見本・工程パラメータを一緒に保管しますので、次回は記録から直接再現できます。試作3〜7日、量産10〜25日です。

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