色は副資材で最もトラブルになりやすく、後から話をつけるのが最も難しい項目です。書面のやり取りは「要件をどう伝えるか」を扱いますが、本記事はその反対側、つまり誰が合格を判定するのか、どの条件で判定するのか、判定結果をどう記録するのか、そしてあるロットが外れたときにどう扱うのかを扱います。この3点を決めておけば、色のトラブルは大きく減ります。

1. 色承認で残すべき3つの書類

色の承認は「見て似ているかどうか」ではなく、主観的な判断を保存可能な実物と書類に変える作業です。どれか一つ欠けると、後から話がつきません。

  • 色番確認書:色番、許容差、観察光源、素材と加工の書き方を確定し、注文書の付属書類とします。「濃紺に近い」は基準になりません。
  • 色見本:実素材と実工程で作った見本。紙の坪量とラミネート、色糸の番号、インクの種類を量産と一致させます。デジタル校正はレイアウト確認用で、色の基準にはなりません。
  • 初回封入見本:初回生産の承認後に双方が署名・捺印して保管する実物基準です。以後の各ロットは画面ではなくこの実物と比べます。

2. 色評価の条件:最も失敗しやすい5つの変数

同じ見本でも、条件が違えば全く違う色に見えます。以下は最も見落とされやすく、言い分が食い違いやすい5つの変数です。

変数よくある誤ったやり方推奨する方法
光源事務所の天井灯やスマホ画面で見るD65またはTL84のライトボックスを指定。日光観察なら曇天か直射かを明記
角度と距離斜めから見たり、目に近づけすぎたりする約45度・30〜40cmで観察し、基準見本と被検見本を同一平面に並べる
背景色の付いた机や柄のある台に置いて見る中性グレーの背景を使い、濃色はグレーか白の台紙に合わせて周囲の色の影響を避ける
比較可能性薄い紙と厚い紙、未ラミネートとラミネート品を比べる素材・厚み・ラミネート・後加工が一致する見本どうしでのみ比較可能
観察者一人が一目見て決める最低2人で確認。色覚に異常のある人は判定から外し、重要色番は測色値も併用

3. 数値と目視の併用

ΔE などの数値指標はトラブルを簡単にしますが、使いどころを誤ると新たな問題を生みます。同一素材・同一工程の比較には有効ですが、素材をまたぐ場合(紙と布、印刷と色糸)は数値の意味が限られ、実物が優先します。

  • 濃色や高彩度色は人の目が敏感なため、許容差は通常厳しくします。同じΔEでも小さな濃色面では目立ちます。
  • 蛍光色や金属色(箔押し・金銀インク)は通常の測色計で安定して測りにくいため、封入見本と固定光源での目視を優先します。
  • 織りラベルは色糸のロットに左右され、洗濯表示ラベルやタグは基材の吸インクとラミネートに左右されます。許容差は品目ごとに発注書へ記載し、一律にはできません。

4. ロット放行:誰が署名し、何を記載し、何を残すか

  1. 各ロットの出荷または入荷前に、同じ約定条件下で初回封入見本と実物比較し、日付・ロット番号・判定者を記録します。
  2. 放行書には最低限、品目と仕様、ロット番号と数量、照合した封入見本の番号、判定結論、異常の記載を残します。
  3. 約定した割合で実物見本を保管し、約定期間保存して将来の紛争時の物的根拠とします。保管番号は放行書と対応させます。
  4. 許容差を外れた場合は口頭で済ませず「特別採用」とします。提出側が偏差の程度と影響範囲を書面で示し、使用側が書面で同意して双方保管します。
💡 ヒント:判定条件を発注書に書き込むほうが、後から色の数値を議論するより有効です。量産前に光源・許容差・封入見本番号の3点を確認し、以後の放行も同じ条件で行えば、色のトラブルは大きく減ります。

関連記事

来季のタグ、織りラベル、洗濯表示ラベルをご検討ですか。ブランド色番・素材・数量をお送りいただければ、まず色見本と封入見本を作成して判定条件を一度に確定し、3〜7日で実物サンプルをお届けします。

色承認のご相談はこちら →