サウジアラビアの衣料ラベルには二つの必須条件があります。表記はアラビア語であること、輸入通関は SASO の SABER プラットフォームで適合性評価を受けることです。繊維組成、洗濯表示、原産地、責任者情報はいずれも省略できず、ラベルは入港前に縫い付け・取り付けを完了する必要があります。入港後の貼り替えは認められず、市場監督の検査で不適合と判定されればロット全体の通関と販売に影響します。

本記事は、三層の規制、必須記載7項目、アラビア語の表記とレイアウト、洗濯表示記号、副資材の役割分担、サンプル前チェックリストの6部構成で解説します。

1. サウジの三層規制:技術規則・SABER・市場監督

サウジの標準体系は SASO(サウジ標準・計量・品質機関)が主導し、繊維製品は「繊維製品技術規則」の対象です。規則は GCC(湾岸協力会議)標準と ISO の洗濯表示体系を参照しています。実務では次の3つが重なって適用され、一つでも欠けると出荷が滞ります。

  • ラベル内容:繊維組成、洗濯表示、原産地、責任者情報をアラビア語で記載。永久表示ラベルとタグで分担します
  • 適合性評価:SABER で製品適合証明(PCoC)と船積み適合証明(SCoC)を取得します。SCoC がなければ通関できません
  • 市場監督:上市後に主管当局が抜き取り検査を行い、ラベル不適合は罰則・販売停止・返送につながります
重要:SABER の証明書はサウジの輸入者が申請します。輸出側の役割はラベル・試験報告書・製品情報を揃えることです。ラベルの確定が早いほど通関で止まりにくくなります。

2. ラベルに必須の7項目

項目 要件の要点 一般的な対応
製品名称 製品の種類をアラビア語で記載(紳士シャツ、キッズパーカーなど) 洗濯表示ラベルの1行目、またはタグ表面
繊維組成 含有率の高い順に繊維名とパーセントをアラビア語で記載 洗濯表示ラベル中央、英語併記も可
洗濯・手入れ方法 洗濯・漂白・乾燥・アイロン・専門処理の5項目を記号とアラビア語で併記 洗濯表示ラベルの裏面
原産国 製造国を明記。アラビア語では صنع في に国名を続けます 洗濯表示ラベルとタグで一致させる
責任者情報 製造者またはサウジの輸入者の名称と住所(通常は輸入者が提供) 洗濯表示ラベルの最終行
サイズ サイズ表示はタグ・外装と一致させる メインラベルまたは洗濯表示ラベル
警告・特記事項 子供服や機能性素材などは要件に応じアラビア語で注記 洗濯表示ラベルの追記行、またはタグ裏面

3. アラビア語の表記方法と配置

アラビア語は右から左に書くため、組版の考え方が中国語や英語と異なります。ラベルの面積は限られ、文字の欠け、連字の分断、数字の逆転が起きやすいポイントです。次の4点はサンプル段階で確定してください。

  • 文字サイズ:洗濯表示ラベルのアラビア語は字高1.5mm以上が目安。面積が厳しいときは記号部分を詰め、文字部分は縮めないこと
  • 数字表記:一般的なアラビア数字(0〜9)とパーセント記号に統一し、東アラビア数字の混用は避けます
  • 双方向テキスト:アラビア語と英語を併記する場合は段落を分けます。同一行内で言語を切り替えると括弧や句読点の方向が崩れます
  • 連字と改行:アラビア文字は連写するため、改行位置を誤ると語義が変わります。デザインソフトの字間調整で無理に詰めず、行単位で校正します
実務のコツ:実際の洗濯表示ラベル幅でアラビア語を組版し、最小サイズでの可読性を確認したうえで、ラベルを長くするか、両面印刷にするか、メインラベルと洗濯表示ラベルの2枚に分けるかを決めます。

4. 洗濯表示記号とアラビア語表記の整合

サウジでは洗濯表示を記号とアラビア語の両方で示すことが求められます。記号は ISO 3758 の5区分構成で、洗濯・漂白・乾燥・アイロン・専門処理の順序は固定です。入れ替えないでください。

  • 洗濯:洗濯桶に温度数字を組み合わせ、機械洗い・手洗い・水洗い不可を区別します
  • 漂白:三角形。塩素系・酸素系の描き分けが必要で、文字説明だけでは不十分です
  • 乾燥:四角形内の円や線がタンブラー乾燥とつり干しを示し、点の数が温度段階です
  • アイロン:アイロン記号の点の数が温度上限を示し、点が少ないほど低温です
  • 専門処理:円内の英字がドライクリーニング溶剤の種類を示し、P と F は混用できません
最も多い失点は記号の描き間違いではなく、記号と文字の矛盾です。30℃の冷水洗い記号なのにアラビア語で温水洗いと書かれていると、誤認表示として真っ先に指摘されます。

5. タグ・織りラベル・洗濯表示ラベル・包装袋の役割分担

  • 織りラベル/メインラベル:ブランド名とサイズ、必要なら短いアラビア語ブランド表記。現地で通じるサイズ表示を求められることが多いです
  • 洗濯表示ラベル:必須情報(組成・洗濯表示・原産地・責任者)をすべて担い、検査の中心となるため永久縫い付けが必須です
  • タグ:価格・バーコード・販促・ブランドストーリー。組成や洗濯表示を載せる場合は洗濯表示ラベルと完全に一致させます
  • 包装袋:アラビア語のブランド名やサイズは印刷可能ですが、包装は永久表示ラベルの代替にはなりません(特に洗濯表示)

6. サンプル前の6項目チェックリスト

  • アラビア語を母語話者が校正したか(特に繊維名と洗濯表示の用語)
  • 繊維組成の合計が100%か、公差の記載を書面で確認したか
  • 洗濯記号とアラビア語が項目ごとに一致し、矛盾がないか
  • 原産地の表記が客先の通関書類と一致しているか(通関とラベルで食い違わないか)
  • 責任者の名称・住所を輸入者が書面で確認したか(推測で記載しないこと)
  • 洗濯表示ラベルの幅にアラビア語が収まり、最小サイズでも可読か
サウジの技術規則と SABER の運用細則は更新されます。本記事は輸出実務の観点です。量産前に最新の技術規則と輸入者の SABER 要件を必ずご確認ください。

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