同じ織りラベルでも、工場によって見積が2〜3割違うことがあります。原因は多くの場合、糸ではなくカット方法です。織りラベルは連続した織帯から1枚ずつ切り出され、切口をどう封じるか、切り口がどれだけ平滑かで、洗濯後のホツレ、肌への当たり、異形形状の可否が決まります。単価を削る前にここを押さえるほうが効果的です。

本稿では4点を整理します。熱カット、超音波、レーザー、冷間カットの実際の違い。どの製品で方式を上げる必要があるか。切辺を折り加工や縫製とどう合わせるか。入荷時に切口をどう検査するか。

1. 4つのカット方式 — 切るのと同時に端を封じる

ポリエステルは熱可塑性で、切口が溶融すると経糸と緯糸が固定されます。熱カットと超音波がホツレを防げる理由です。綿ラベルは溶融しないため、折り返し・パイピング・織り端で対応するしかありません。つまりカット方式の選択は、まず糸の種類から決まります。

方式 切りの仕組み 向く用途 注意点
熱カット 加熱刃で押し切りながら溶封。速くて安価 標準的な平織り、大量生産、直線の切口 溶融ビードが出て淡色では黄ばみが見える。刃温度が高いと端が硬くなる
超音波 高周波振動の摩擦熱で溶断し、同時に柔らかい端を圧着 細かい小文字、薄手ラベル、肌に当たる位置 超音波型が必要で異形は高コスト。熱カットより遅い
レーザー ビームで気化切断。型不要で高精度 異形、抜き加工、極小ロットの試作 端に軽い焦げと臭いが出る。淡色は試し切りを。量産効率は低い
冷間カット 機械的なせん断。封止なしで最も平坦 綿・混紡、毛羽感が必要、後工程で折り返しやパイピング

2. 方式を上げなければならない条件

  • 文字が2mm未満、線が極細:熱カットのビードが小さい文字を潰し、最後の1字が切れます。超音波のほうが安定します
  • 異形形状(曲線・抜き・ロゴ輪郭):まずレーザーで10枚切り、形状と風合いを確認してから量産用の型を決めます
  • 端が肌に直接当たる(襟のネーム、子供服):切口の硬さは見た目以上に返品率へ影響します。超音波圧着は熱カットの硬い端より快適です
  • 綿や難燃など溶融しない繊維:熱では封じられません。冷間カット+折り返し/パイピング、または織り端構造に変更します
  • 洗濯後にホツレないこと:どの方式でも40℃で5回洗濯する抜き取り試験が必要です。乾いた見本では分かりません

3. 切辺の幅は折り方に合わせて余裕を取る

代表的な3つの折り方で、切辺への要求はまったく異なります。センター折りは左右対称、エンド折りは両端に8〜10mmの折り返し、ループ折りは片端に縫い代が必要です。狭すぎれば折れず、広すぎれば洗濯後に皺が出ます。どちらも見本段階では目立たず、量産で一気に出ます。

  • 折り線をビードに載せない:ビードは硬く、その上で折ると白化・割れが出ます。折り線は1mm内側へ
  • 縫い線は切口から1.5〜2mm:近すぎると針が封止した糸を切ります。2回の洗濯で口が開きます
  • ロット内で切口方向を揃える:経方向と緯方向では端の硬さが違います。混在すると硬いものと柔らかいものが同一ロットに出ます

4. コスト差の所在と見積で確認すべきこと

熱カットが安いのは刃が一気に通るからです。超音波は型と送りの遅さ、レーザーは加工時間にコストが乗ります。異形や抜き加工は刃型か超音波型が別途必要で、型代は初回のみ、返単では発生しません。初回見積で明記させてください。

  • 試作はレーザーが最速で1〜2日で形状が出ます。ただし風合いは量産と完全には一致しないため、形状承認後に型を起こします
  • 超音波型は通常納期に3〜5日上乗せになり、繁忙期はさらに延びます。生産計画に織り込んでください
  • 小ロットの異形なら刃型のほうが超音波型より安価ですが、端は封止されないため折り返しやパイピングが必要で、その工賃も比較に含めます
  • 見積書には4点を明記します。単価にカット代が含まれるか、型代が含まれるか、型の帰属、方式変更時に再見積となるか

5. 入荷検査:三つの目視、一つの引張、一つの洗濯

  1. 切口幅:ロット内で一定か、バリや焦げがないか。淡色は特に注意
  2. ビード:太い場合は刃温度が高く端が硬くなります。肌に当たる製品では返品対象
  3. 方向:折り線と切口が直交しているか、同一箱内で揃っているか
  4. 引っ張る:横方向に軽く引いて糸が抜けないこと。3枚で判断できます
  5. 洗う:5枚を40℃で5回洗濯し、ホツレ・カール・白化を確認。カットの問題が最も出る工程です
💡 ヒント:異形や細文字の織りラベルは、まずレーザーで実サンプル10枚を切って輪郭と風合いを確認し、超音波型か刃型かを決めます。この2日が型の作り直しを防ぎます。

関連記事

異形・抜き・細文字の織りラベルをご検討ですか。デザイン、仕上がり寸法、予定数量をお送りください。折り方に合わせたカットと端封じの方案をご提案し、まずレーザー実サンプルで形状を確認いただきます。試作3〜7日、量産10〜25日です。

ラベルのカット方式を相談 →