ブランドから40ページのラベリングマニュアル(Vendor Labeling Manual)が届きます。ハングタグに何を印字するか、洗濯表示の何行目に組成を入れるか、外箱のマークをどう組むか。工場が自社の慣習で作れば、初回出荷でチャージバックが返ってきます。副資材の現場ではほぼ毎週起きていることです。マニュアルは参考資料ではなく、契約の別紙です。
本稿では4点を整理します。マニュアルの中で実際に監査される要求はどれか、届いたマニュアルを実行可能なチェックリストにどう分解するか、4種類の副資材で何を変えるか、シーズン途中の改版で旧在庫と旧版をどう扱うかです。
1. ラベリングマニュアルが国家規格より厄介な理由
国家規格は下限で、マニュアルは顧客の基準です。法規は「何を載せるか」を定め、マニュアルは「どこに、どの大きさで、どの書体で、略記が許されるか」まで定めます。同じTシャツを米国向けに輸出する場合、法規は原産国の表示を求め、ブランドのマニュアルはさらに、洗濯表示と同じ面に、6pt以上で、Made in PRC ではなく Made in China と記載することを求めることがあります。どちらも適法ですが、法規だけ満たしても監査は通りません。
- 項目レベル:どの情報を必ず載せるか、順序、大文字小文字、略記の可否
- 位置レベル:メインラベル・サイドラベル・洗濯表示・ハングタグ・外箱に何を載せるか、どの縫い目に入れるか、縫い線から何mmか
- 形式レベル:書体、最小文字サイズ、バーコード種別とクワイエットゾーン、色(白黒または指定Pantone)
2. 届いたマニュアルはまず4枚の紙に分解する
最初から通読せず、用途別に4枚へ分けます。項目ページ、位置ページ、バーコードページ、包装ページです。項目ページには各ラベルに必要な情報を列挙します。位置ページはマニュアルの位置図を自社工場の縫製部位図に置き換えます。バーコードページにはUPCまたはEANの桁数、プレフィックスの帰属、ベンダーコード規則、クワイエットゾーンを書き写します。包装ページには外箱マークの形式、1箱入数、ポリ袋の警告文、タグの付け方を記録します。この4枚をパターン室の壁に貼るほうが、40ページのPDFよりはるかに役立ちます。
| マニュアル章 | 書き写す内容 | 工場側の担当 |
|---|---|---|
| ラベル内容 | 項目一覧、順序、大文字小文字、略記規則 | 営業とパターン室 |
| 位置と縫製 | 部位、縫い線からの距離、表裏の向き | パターン室と縫製現場 |
| バーコードとコード | UPCまたはEANの桁数、プレフィックス、ベンダー番号、クワイエットゾーン | パターン室 |
| 包装と外箱マーク | 外箱マーク形式、入数、ポリ袋の警告文 | 倉庫と梱包班 |
3. 4種類の副資材への落とし込み
マニュアルの要求は、具体的な生産書類になって初めて意味を持ちます。ハングタグは版面と項目、織りラベルは密度と可読性、洗濯表示は素材と行数、ポリ袋は印刷内容と警告文が変わります。変更は小さく見えますが、それぞれ物理的な制約があります。項目を増やせば文字は小さくなり、文字を小さくすれば織りラベルの針数(密度)を上げる必要があります。
- ハングタグ:UPCと価格欄を残すか、原産国の表記、QRコードの遷移先が顧客指定ドメインか
- 織りラベル:項目が増えたら密度を上げるかサイズを大きくします。サテンは通常密度では6ptの小文字を出せないため、平織りジャカードに変更します
- 洗濯表示:どの言語が必須かを先に確認し、そのうえで幅と折り方を決めます。最初から4言語で埋めないこと
- ポリ袋:警告文の文言と文字サイズは顧客指定です。独自に改善しないこと。リサイクル表示は市場別に追加し、EUと米国では要件が異なります
4. 試作と承認:マニュアル照合サンプルをもう一度作る
通常の試作は外観だけを確認しますが、マニュアル照合サンプルは項目ごとにチェックします。初回承認の前に、マニュアルの要求を20項目程度のチェックリストにし、営業・パターン室・現場がそれぞれ署名します。一度承認されれば、その後の返単はマニュアル原文ではなく、このサンプルが基準になります。顧客側もマニュアルを改訂するからです。双方が確認した版が残ることに意味があります。
- 照合サンプルは2部保管します。1部は顧客署名用、1部はマニュアルの版番号と発効日を添えて社内保管します
- 各項目に適合・不適合・顧客免除を記入します。免除は書面確認が必須で、口頭合意は無効です
- バーコードは必ず実機で読み取ります。印字がきれいかどうかだけでは不十分です。クワイエットゾーン不足のバーコードは店頭のスキャナで最も失敗します
5. 変更管理とペナルティ
改訂はたいていメール1通と新しいPDFで届き、発効日は2週間後ということが多いものです。その時点で工場には旧版のハングタグや印刷済みの洗濯表示が残っています。まず仕掛品を凍結し、3つの数字を出します。旧在庫の数量、手直しコスト、廃棄ロスです。そのうえで顧客と負担分担を協議します。多くのブランドはマニュアル変更による旧在庫に補償条項を持っていますが、こちらから申し出る必要があり、しかも次回出荷の前でなければ余地はほとんどありません。
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顧客のラベリングマニュアルを実行に移す必要がありますか。PDF、型番リスト、対象市場をお送りください。ハングタグ、織りラベル、洗濯表示、ポリ袋について項目と位置を照合し、実行可能な生産チェックリストにまとめ、4言語版のお見積りを提出します。試作3〜7日、量産10〜25日です。
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