シュリンク包装(収縮フィルム包装)は、折りたたんだ衣料品にフィルムを掛けてトンネルを通し、熱でフィルムを収縮させて商品に密着させます。開封後に元に戻せない、透明でタイトな外装になり、Tシャツ・インナー・靴下・タオル・セット商品に適します。折り形状を固定でき、棚も整います。ただしフィルムや温度の選定を誤ると硬い折りジワが付き、毛羽立った生地では特に目立ちます。

本ガイドでは3種類の主要フィルムを比較し、収縮率と方向、厚みの選び方、シールとベント穴の考え方、ポリ袋との使い分け、印刷・表示、サンプル検収リストを整理し、包装仕様を一度で決められるようにします。

1. 主要3フィルム:PE・POF・架橋PE

フィルム透明性収縮特性向く用途注意点
PE(ポリエチレン)中程度でやや曇る収縮温度が高めで、膜は強靭セット商品・紙箱の外装・やや重い商品収縮後の光沢は普通で、透明感はPOFに劣る
POF(ポリオレフィン多層)高透明で光沢が良い収縮温度が低く、トンネル速度を上げられるインナー・Tシャツ・ギフトセットPEより高価で、角が当たると破れやすい
架橋PE透明で強度が高い低温で収縮率が高く、最もタイトに包める形状が不揃いでタイト包装が必要な商品最も高価で、トンネル温度の安定管理が必須
PVC(塩ビ)高透明収縮温度が低く制御しやすい旧式設備や一部の特定市場リサイクルと環境面の制約が大きく、欧米客先はほぼ切り替え済み

2. 収縮率と方向:なぜ歪むのか

  • 縦横の差:フィルムには縦(MD)と横(TD)の収縮方向があり、差が大きいと収縮の強い側へ偏ります
  • 収縮率の目安:衣料包装では30〜60%が一般的。フィルムと設備により変わり、不足すると緩く、過剰だと折り形状が崩れます
  • シールの向き:主な収縮方向に対して垂直にシールすると端がまっすぐになります。平行にすると波打ちます
  • 事前テスト:新しいロールは本番と同じ温度・速度で数点試し、寸法と外観を確認してから量産します

3. 厚みの選び方:15〜25μmの実際の差

  • 15〜17μm:Tシャツや靴下など軽量単品向け。密着しますが硬いタグや角で破れやすい
  • 19〜21μm:汎用域で、多くのセット商品がこの範囲。外観と破損率のバランスが取れます
  • 25μm以上:重量物や耐摩耗が必要な長距離輸送向け。コストは上がり、透明性はやや落ちます
  • 原則:厚みより構造です。折りに角が残るか、タグが突出するかのほうが、数μmより破損率に効きます

4. シールとベント穴:設備設定とよくある不具合

  • シール方式:Lシーラー、サイドシール(ピロー)、収縮袋の3方式から、包形状と生産能力で選びます
  • 温度と速度:低温だと収縮不足でシワになり、高温だと溶け穴や脆化が起きます。段階的に安定条件を出します
  • ベント穴:完全密閉の包装には必ず空気抜きが必要です。ないと輸送中の気圧変化で膨らみ、破れます
  • トンネルの清掃:トンネル内のフィルム屑が商品に付着します。淡色では特に目立つため、始業前に清掃します

5. シュリンクかポリ袋か:シュリンクを避ける場面

  • シュリンク向き:タイトな外観、開封跡が残る改ざん防止、セット固定、棚の整いやすさを求める場合
  • ポリ袋向き:ウール・カシミヤ・起毛ニットなど毛羽のある素材、高単価のテーラード。圧縮で折りジワや潰れが出ます
  • コストの考え方:フィルムは袋より単価が安いことが多いものの、設備・工数・エネルギーを加えると小ロットでは割高になります。発注量単位で総コストを比較します
  • 開封体験:EC利用者はフィルムを剥がす際に商品まで傷めがちです。チャック袋や再封可能なポリ袋のほうが返品率に優しい選択です

6. 印刷・表示・輸出の注意点

  • 印刷の難しさ:収縮で図柄が歪むため予備補正が必要です。図柄が簡単なら粘着ラベルに切り替えるほうが早道です
  • 必須表示:素材とリサイクル記号、窒息警告、バーコードやサイズ表示。EU向けは包装規則の削減・再利用率要件も対象です
  • タグとの併用:シュリンクは紙タグを曲げやすいため、フィルム外に出すか、柔らかいひもと薄手の台紙に切り替えます
  • 実機確認:量産前に実物で試し、シール幅・余白・外観を確認してから設定とロールのロットを固定します
💡 ヒント:コスト削減の順序は、まず構造、次に厚みです。折りの角を平らにし、タグを外に出すほうが、厚いフィルムに替えるより破損率を下げられ、外観も損ないません。

7. サンプルと検収チェックリスト

  • 折りたたみ後の実寸と単品重量を提示し、フィルムと厚みの根拠とします
  • フィルム種・厚み・収縮率範囲を指定し、高透明や低温収縮の要否を伝えます
  • シール方式・余白寸法・ベント穴の要否を確認し、輸送中の膨らみを防ぎます
  • 試し包み後は、密着性・硬い折りジワ・シール強度・タグの曲がりを項目ごとに確認します
  • 表示内容(リサイクル記号・警告・バーコード)と、直刷りかラベルかの印刷方式を確認します

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