衣料副資材には海上輸送で逆説的な特徴があります。貨物価値は低いのに、コンテナの中で最初に傷む部分になりがちです。ハンガータグは紙、ポリ袋はフィルム、箱やヘッダーカードは圧縮と湿気に弱く、金属の止め具やフックは角が硬い。一度の圧迫や一度の湿気で、1ロット分の作り直しになりかねません。つまり積載は「何立方か」を伝えれば済む話ではなく、箱の仕様・パレット・積み高さ・防湿処理が、着荷時に使えるかどうかを決めます。

本記事は、外箱とパレットの仕様の決め方、積み高さを制限する要因、主要3タイプのコンテナの積載見積り、衣類完成品と同梱する際の注意点、防湿・防圧の具体的なやり方、着荷破損時の責任分担を扱います。最後に、積載前に渡すべき6項目を示します。

1. 軽い副資材が大きな損害を受ける理由

  • 紙は湿気に弱い。海上輸送25〜35日の高湿度環境で、ハンガータグ、ヘッダーカード、紙袋は吸湿してしわになり、角が反ります。ラミネートと防湿包装でリスクは明確に下がります。
  • フィルムと袋は容積貨物です。同じ重量でも衣類の数倍の体積を占めるため、重量でコンテナを見積もると必ず外します。副資材はまず容積で考えます。
  • 硬い異形部品:金属の止め具、ハトメ、樹脂フックは隣の箱を突き破るため、個別の内装か仕切りが必要です。
  • 積み重ねの荷重:湿度が上がると段ボールの圧縮強度は明確に低下します。高く積むほど最下段が潰れやすく、副資材の箱は衣類用より薄いことが多いです。

2. 外箱:坪量だけでは判断できない

  • 箱の形状:通常はRSC(0201)が最も経済的。高級紙袋やギフト用品は天底(かぶせ)箱が向き、扁平なハンガータグは浅い箱で揺れと角傷みを減らせます。
  • 段ボールの仕様:国内短距離なら片面(3層)で足りますが、輸出海上輸送は両面(ABまたはBCフルート、5層)か高強度3層を推奨。判断基準は圧縮強度であり、層数の数字そのものではありません。
  • 寸法と詰め物:内側の余裕は3〜5mmで十分です。空隙が大きい場合はクラフト紙やエアクッションで詰めないと、積み重ね時に側面が内側へ凹みます。
  • 印刷:濃色のベタ面は避けます。吸湿後に水染みが目立ちやすく、印刷面積が大きいと箱の強度もわずかに落ちます。

3. パレットと積み付け:まず「潰れない」、次に「入る」

パレット寸法一般的な寸法1パレットの目安備考
ユーロパレット1200 × 800 mm約0.4〜0.6 m³欧州線で一般的。コンテナ内に2枚並ぶ
標準パレット1200 × 1000 mm約0.5〜0.8 m³アジア・南米線で一般的
米国式パレット1219 × 1016 mm(48 × 40インチ)約0.6〜0.9 m³北米の受入標準。代替不可
角型パレット1100 × 1100 mm約0.6〜0.8 m³日韓線や一部のケミカル線で一般的
  • パレット込み高さ:海上輸送では1.8〜2.2mが一般的です。2.2mを超えると航路によって制限や割増が生じます。40HQの内寸高さは約2.69mあるため、荷役の余裕を残します。
  • 積み段数は「最下段が潰れないか」から逆算します。ハンガータグや紙袋などの軽貨物は通常5〜8段積めますが、パレットにはコーナーボードと最低3巻きのフィルム固定が必要です。
  • 重いものは下、軽いものは上。同一パレット内では紙の重量物を下段、フィルム袋や異形品を上段に置き、硬い角で下の箱を破らないようにします。
  • パレットの隔離:パレット脚とコンテナ床の間にフィルムや板を敷き、木製パレットが吸湿して箱へ湿気を伝えるのを防ぎます。

4. 積載の見積り:まず容積、次に積載率

コンテナ内容積(目安)理論積載副資材の実用積載
20GP約33 m³約28 m³22〜26 m³
40GP約67 m³約58 m³45〜52 m³
40HQ約76 m³約68 m³52〜60 m³
  • バラ積みはパレット積みより通常8〜15%積載率が高くなります。短距離や顧客倉庫の条件が許す場合はバラ積みを優先し、長距離輸送や顧客がパレット単位で棚入れする場合はパレット積みにします。
  • パレット数で数える方が直感的です。1200 × 1000 mm なら 20GP で約10〜11枚、40GP・40HQで約20〜21枚。二段積みで増やせますが圧縮限界に注意します。
  • コンテナを見積もる際は、箱寸法・1箱の毛重量・総箱数をまとめて出します。「何立方」だけでは、積載当日に合わないことがよくあります。
  • 荷崩れ対策:当て木、エアバッグ、結束バンドを必要に応じて使います。特にバラ積みでは、走行中の滑りや転倒は圧痕よりもクレームが難しくなります。

5. 衣類完成品との混載

  • 積み込み順:衣類と重量物は奥、軽い副資材は扉側に置きます。荷卸し時に副資材から出せば、全体を掘り返さずに済みます。
  • 区画と隔離:濃色のハンガータグや印刷物と淡色の衣類の間には仕切りか防塵袋を入れ、摩擦による色移りや紙粉の付着を防ぎます。
  • 圧迫対策:衣類の箱をパレット貨物の上に載せないこと。やむを得ず積む場合は、間に一枚板を入れて荷重を分散します。
  • 入荷の段取り:副資材が衣類より先に工場へ着くよう確認します。屋外で待たされたり、湿った隅に仮置きされたりするのを避けます。

6. 防湿・防圧と責任分担

  • 乾燥剤の量はコンテナ容積で見積もります。一般的に1 m³あたり塩化カルシウムまたはシリカゲル100〜200g、雨季や35日を超える航海では増量します。
  • コンテナレイン:海上の昼夜温差で天井が結露し、雫が落ちます。天井に防湿フィルムを張るか吊り下げ乾燥袋を付けると、紙の副資材では効果が特に顕著です。
  • 防湿包装:ハンガータグや紙袋はPE袋で一括包装してから箱詰めし、箱内に防湿紙を入れます。ラミネート品は未加工品より受湿リスクが明らかに低くなります。
  • クレームの三点セット:積載写真(シール番号入り)、パッキングリスト、荷崩れ対策の記録。写真がなければ、輸送中の湿気が原因でも責任は発送側に戻りがちです。
  • 着荷検査:箱番号でサンプリング開梱し、圧痕や湿気を見つけたら即座に写真を撮って通知します。受領期限を過ぎてからのクレームは通常通りません。

7. 積載前に渡すべき6項目

  • 品名と仕様:素材、寸法、単品重量、金属や硬い角の有無。
  • 外箱寸法、1箱あたりの入数、毛重量。
  • 総数量と出荷予定時期、雨季にあたるかどうか。
  • パレットの要否と規格、仕向地の受入要件。
  • コンテナタイプ(20GP・40GP・40HQ)と、衣類との混載の有無。
  • 仕向地、納入条件(FOB・CIF・DDP)、コンテナ内の固縛と乾燥剤の要否。
💡 ヒント:積載前で最も省かれやすく、最も後悔するのが「1枚撮る」ことです。箱の積み方、固縛の仕方、シール番号。この写真が着荷後の責任論争を一つ省きます。覚えておきたいのは二点。軽い貨物も潰れ、重い貨物も湿気で駄目になります。

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