ドローコード(抽きひも)は、パーカー・ジョガーパンツ・ジャケット・アウトドアウェアで最も見落とされ、最もトラブルになりやすい副資材です。コード本体・コードエンド(先端金具)・通し構造の三つで構成され、どれか一つを間違えると、抜け・破断・色落ち・洗濯後の縮みにつながります。
本ガイドは、コードの構造・素材・先端加工・衣体との組み合わせ・子供服の安全規制・発注チェックリストの六部構成です。特に子供服のドローコード規制は、輸出案件で最もつまずきやすい項目です。
1. ドローコードの四つの構造:丸コード・平テープ・編みコード・ゴムコード
構造が風合い・外観・用途を決めます。まず構造を決めてから素材を検討すると、商談が最も早く進みます。
- 丸コード:最も一般的なパーカー用コード。断面が丸くボリュームがあり、直径は主に 4–6 mm。フード口やウエストに適します。
- 平テープ:平らで身に沿い、巻きにくい。ジョガーパンツのウエストや装飾的な紐に使われ、幅は主に 10–25 mm です。
- 編みコード:立体感があり摩耗に強い。アウトドアやワークウェアで一般的で、ツートンや再帰反射糸の混編も可能です。
- ゴムコード:芯がゴム、外側が織りカバーの構造。防風カフスや裾ゴムなど、自動的に絞られる部位に使います。
2. 素材の選び方:ポリエステル・綿・ナイロン・混紡
同じ構造でも素材を変えると、風合い・縮み・染色堅牢度・コストが大きく変わります。輸出案件では環境訴求と法令対応も考慮が必要です。
| 素材 | 特長 | 主な用途 |
|---|---|---|
| ポリエステル | 強度が高く縮まず、洗濯・耐光に強い。やや滑らかな風合い | スポーツ・アウトドアの主力。コスト性能が最も高い |
| 綿 | 柔らかく肌に優しい天然の風合い。ただし縮みと色落ちが起こります | カジュアル・ヴィンテージ調のフードひも、ルームウェア |
| ナイロン | 耐摩耗性と伸縮回復に優れるが、コストは高め | 高強度アウトドアとテクニカルスポーツ |
| 混紡・ゴム芯 | 風合いと回復性を両立し、伸縮の強さを調整可能 | スウェットパンツのウエスト、裾ゴム、子供服 |
| 再生ポリエステル(rPET) | 性能はバージンとほぼ同等で、環境訴求を裏付けられます | エコシリーズ・欧米向け輸出案件 |
3. コードエンド加工:金属・樹脂・結び・熱カット
コードエンドは機能部品であると同時に意匠部品です。コードの構造・直径・洗濯条件に合わせ、法令対応も必要です。
- 金属エンド:真鍮ニッケルメッキ・アンティークブロンズ・塗装があり、高級感が最も高い。ニッケル溶出が REACH に適合するか確認が必要です。
- 樹脂エンド:軽量・低コスト・色合わせ可能。子供服やファストファッションに適し、小部品試験の適合が必要です。
- 結び止め:最も低コストですが洗濯後にほどけやすいため、接着や熱シールの併用を推奨します。
- 熱カット:ポリエステルコードは熱で切断と封止を同時に行え、ほつれを防ぎます。平テープや装飾ひもで一般的です。
- エンドスリーブ・成形チップ:シリコンや射出成形のキャップで、ロゴ印字が可能。滑り止めと質感を両立します。
4. 衣体との組み合わせ:ボタンホール・ハトメ・通し幅
- ハトメ:金属または樹脂製で、内径はコード径より 1–2 mm 大きくし、縁は手を傷つけない平滑さが必要です。
- ボタンホール:ニット帽で一般的な縫製穴。繰り返し引いても変形しないよう芯地で補強します。
- 通し(casing):幅はコード径の 1.5–2 倍が目安。狭すぎると詰まり、広すぎると裏返ったりねじれたりします。
- 固定タック(バータック):通しの中間を縫い止め、コードが丸ごと抜けるのを防ぎます。子供服では必須とされることが多いです。
- コードロック:裾やフード口を片手で絞るパーツ。コード径と引張力に合わせて選びます。
5. 子供服のドローコード:無視できない安全規制
子供服のドローコードは、絞扼・絡まりに関する安全規制の重点項目です。要件は国ごとに異なるため、出荷前に一つずつ確認が必要です。
- EN 14682(EU):7 歳未満の子供服は頭部・頸部に露出するドローコードが禁止。ウエストのコードは露出長に制限があり、裾より下に垂れてはいけません。
- CPSIA・ASTM F1816(米国):2T〜12 の上衣は襟ぐり部のドローコードが禁止。ウエストコードの露出長は 75 mm 以下です。
- エンドとロック:外れる硬質パーツは不可。完成品は小部品試験と引張試験に適合する必要があります。
- 書類とトレーサビリティ:第三者試験報告書・ロット記録・仕様書を保管し、監査や抜き取りにすぐ提出できるようにします。
6. 発注とサンプル:この六項目を送れば十分
- 仕様:構造・素材・直径または幅・色(色番または Pantone を提示)
- エンド:種類・材質・色・ブランドロゴ印字の有無
- 性能:染色堅牢度(洗濯・摩擦)、引張強度の要求、収縮率の上限
- 組み合わせ構造:ハトメ内径・通し幅・コードロックと固定タックの要否
- 数量と梱包:一本あたりの長さ・通し済みか・セット梱包かバラ梱包か
- 法令対応:対象市場・着用者の年齢範囲・第三者試験と報告書の要否
💡 ヒント:ドローコードのクレームは外観より洗濯後と引張強度に集中します。仕様確定前に洗濯比較と引張試験を行う方が、後からの手直しよりはるかに安価です。子供服の場合は対象市場とサイズ範囲をお知らせください。EN 14682 と ASTM F1816 に適合する構造をご提案します。
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