衣料副資材の発注で最もトラブルになりやすいのが、客先支給品と指定材料です。お客様が織りラベルやボタン、生地を支給する、あるいは特定ブランドの面ファスナーやファスナーを使用指定する場合、責任の境界が一気に複雑になります。不具合は支給材の問題か加工の問題か、ロス率は誰が負担するのか、余剰材は返却するのか。契約に書いていなければ、量産段階で行き詰まります。本記事では、客先支給品の管理要点を実行可能な手順に整理します。
構成は4部です。まず3つのケースを切り分け、次に受入検査、ロスと補充、区分保管とトレーサビリティ、決済条件、最後にサンプルと変更管理の要点を示します。
1. まず3つのケースを切り分ける(責任はまったく異なる)
| ケース | 客先が提供するもの | リスクと要点 |
|---|---|---|
| 現物支給 | 完成品の副資材、生地、紙 | 支給材の不良は客先責任ですが、受入時に検査し記録を残す必要があります。取り決めたロスを超えた分は追加支給が必要です |
| 指定材料 | ブランド、型番、指定供給元 | 単一ソースのため納期と価格は他社次第。同等品の可否と承認フローを発注書に明記します |
| 支給の金型・入稿データ | 抜き型、箔押し版、デザインデータ | 番号管理、保管、保守、返却を明確に。どの版が基準か、改版費用の負担も明記します |
3つのケースは同じ案件に混在しがちです。織りラベルを支給し、ファスナーのブランドを指定し、抜き型を送ってくる。見積り前に三つを分けて書き出すほうが、後からの説明よりはるかに有効です。
2. 受入検査:その場で終える6項目
- 数量の確認:個数、巻数、重量でそれぞれ数え、巻物はメートル数またはヤード数を明記します。その場で数え切れない場合は「未確認数量」として署名し、後で確認する前提にします。
- 外観と破損:巻物の端、段ボールの湿気、表示の脱落、混載を確認し、異常があれば写真を撮り、当日の受入票に記載します。
- 仕様を項目ごとに照合:坪量、厚み、幅、色、型番を仕様書と突き合わせます。前回の印象で通してはいけません。
- ロットと色差:支給材のロット番号を記録します。同一材料でロットごとの色差が大きい場合は、小サンプルで比較してから量産投入を判断します。
- 組み合わせの小サンプル:本体生地や主部品との相性(色、硬さ、収縮率、接着)を先に確認します。完成品で気づくのは手遅れです。
- 記録と受領署名:数量、ロット、不具合内容、写真を1枚の受入票にまとめ、双方が署名します。不良品は隔離し、段取り時ではなく当日に客先へ連絡します。
3. ロス率と追加支給:見積り段階で決めておく
- ロスは工程で変わる:印刷、型抜き、箔押し、織り、縫製で妥当なロスは異なります。見積書に含まれるロスを明記するほうが、量産後の議論よりはるかに安価です。
- 支給材不足はライン停止:不足による停止の責任、手待ち費用、再段取りのルールを事前に合意します。通常は補充材の到着日から再スタートします。
- 不良によるロスと段取りロスを分ける:支給材の不良による廃棄と、試運転・調色・見当合わせによるロスは性質が異なります。前者は客先材料に計上し、後者は通常加工側が負担します。
- 支給量の提案:妥当なロスに安全余量を加えて支給するよう客先に伝えます。特に量産後に追単が見込まれるシリーズは、一度で十分量を送るほうが運賃と停止リスクを1回分節約できます。
4. 区分保管とロットトレーサビリティ
- 専用エリアで保管:客先支給材は専用区域に置き、客先名、受入ロット、日付を表示します。自社在庫の類似品と混ざると、不具合の出所が分からなくなります。
- 先入れ先出し:客先支給材は複数の生産ロットにまたがることが多く、入荷日の早いものから使います。余剰が長く在庫されると変色や硬化が起こります。
- 双方向のトレース:完成ロットから支給材ロットへ、支給材ロットから使用した完成ロットへと辿れるようにします。不具合時に双方が納得できる唯一の根拠です。
5. 決済と条件:後で争うより契約に書くほうが安い
- 支給材は価格計上しない:客先支給材は加工費の請求額に含めず、通関と経理で分けて説明できるようにします。税務上の整合が取れなくなるのを避けます。
- 余剰材と不良品の返却:数量、梱包、運賃負担、期限(通常は量産完了後一定日数)をあらかじめ定め、期限を過ぎた場合は加工側の判断で処理できるものとします。
- 知的財産と守秘:支給データ、ブランド、デザインの権利保証は客先が負担し、加工側は図面と工程データを守秘します。両方を条項にします。
6. サンプルと変更管理:支給材では特に省略しない
- まず小サンプルで試す:支給材を量産投入する前に、印刷・箔押しの密着、型抜きの具合、縫製の相性を小サンプルで確認します。
- 供給元やロット変更時は再確認:支給材の出所が変わると色、厚み、収縮率が変わる可能性があり、以前の署名前サンプルは適用できません。
- サンプル保管とロット記録:支給材の実物サンプルにロットと日付を書き、双方署名の受入票も保管します。紛争時は口頭説明より書面が有効です。
💡 実務のヒント:支給材のトラブルはほぼ同じ3点でつまずきます。検査がない、記録がない、ロス率を取り決めていない。受入票1枚と、見積書にロスと追加支給の条件を書くだけで、コストはほぼゼロ、揉め事の9割を入口で止められます。
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客先支給品や指定材料を含む副資材のご発注ですか。支給材リスト、数量、工程要件、納期をお知らせください。受入基準、妥当なロス、追加支給のルールを先に確認し、加工方案とお見積りをご提示します。サンプル3〜7日、量産10〜25日、試作数量はご相談ください。
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