包装の法令対応といえば、これまではEUを見れば足りました。PPWR、各国のEPR、プラスチック税です。2026年以降、その判断は更新が必要です。米国はもはや「包装法のない市場」ではありません。カリフォルニア、オレゴン、コロラド、メイン、ミネソタなどの州が包装の拡大生産者責任(EPR)法を成立させ、衣料品の発注で最も普通の3点——内袋のポリ袋、ブランド紙袋、宅配袋——が対象に入っています。

中国の輸出企業や衣料ブランドにとって、これはコストの問題であると同時にデータの問題です。包装は計量でき、素材は判定でき、構造は申告できる状態でなければなりません。以下、5州の状況、誰が生産者とみなされるか、何が包装とみなされるか、サプライヤーが渡すべき6項目、そして調達側での落とし込み方を整理します。

1. 5つの州:同じ骨格、異なる時間表

州ごとに細部は違いますが骨格は同じです。生産者が資金を拠出し、生産者責任組織(PRO)が徴収と支払いを代行し、費用は素材区分とトン数で按分されます。違いは対象素材、開始時期、再利用率の目標です。

州法と成立年対象範囲衣料包装への実際の影響
カリフォルニアSB 54(2022年)使い捨て包装とプラ製食器2032年目標:使い捨て包装の全てをリサイクル可能または堆肥化可能に、発生抑制25%、再利用率65%。内袋と宅配袋も対象です
オレゴンリサイクル近代化法(2021年)紙・プラ・金属・ガラス包装生産者はPROを通じて申告・納付。紙袋もポリ袋も対象で、紙だから免除にはなりません
コロラドHB22-1355(2022年)包装と印刷用紙段階的実施で、料率は素材のリサイクル性に連動。複合構造は高率になりがちです
メインLD 1541(2021年)包装と印刷用紙トン単位で課金する管理組織モデル。小規模ブランドも報告は必要で、費用が低いだけです
ミネソタ包装廃棄物・コスト削減法(2024年)包装近隣州との共同実施で開始が最も遅い。今のうちに構造を見直せば最初の申告に間に合います

注意:州ごとの料率表と申告区分は現在も順次公表されています。具体値は州の環境当局とPROの正式通知に従ってください。本稿は判断の筋道を示すもので、法的助言ではありません。

2. 誰が生産者か:越境セラーも対象

多くの州では「包装を州内市場に持ち込む者」が生産者と定義されます。ブランド保有者、輸入者、初回販売者です。中国のセラーが直送したり、プラットフォームで自社ブランドを販売する場合も通常対象となり、義務は生産地ではなくブランドに付きます。

  • ブランド保有者:包装の責任はブランドに付きます。袋をサプライヤーが製造していても同じです
  • 輸入者:自社名で通関する商社も生産者とみなされることがあり、ブランドと申告を分担します
  • プラットフォーム販売者:自社ブランド品は多くの州でブランド側が対象。一部のプラットフォームは既に費用を源泉徴収したり、管理画面での包装データ入力を求めています
  • 小規模事業者の免除:多くの州に閾値がありますが、州・素材・年間数量で異なります。下回っていると決めつけないこと

3. 何が包装か:3層すべてを計量する

EPRでは包装を層で区分し、衣料品の発注は3層すべてが対象です。漏れやすいのは段ボールではなく第1層です。

層衣料品発注での具体物申告の要点
一次包装内袋のポリ袋、防塵袋、タグごとの小袋1点あたりは軽いが点数が多く、最も漏れやすい
二次包装ブランド紙袋、ギフト箱、薄葉紙、シール複合構造は素材ごとに分けて申告
輸送包装宅配袋、外箱、封緘テープ、緩衝材EC出荷で最もトン数の大きい部分

タグや織りラベル自体は通常、包装ではなく製品の一部とされます。ただしタグを包む小さなポリ袋や、取り付け用のポリ帯は一次包装です。申告で最も漏れやすく、審査で最初に聞かれる部分でもあります。

4. サプライヤーが渡すべき6項目

申告するのはブランドですが、データは包装サプライヤーからしか出てきません。以下の6項目を仕様書に入れておけば、以後の申告はそこから取るだけで済み、毎回計量し直す必要がありません。

  • 素材構成:単一素材か複合か。複合なら各層の素材・順序・比率まで記載し、PEや紙とだけ書かないこと
  • 単位重量:袋・箱ごとに0.1 gまで。これが費用の乗数になるため、概算はそのまま費用誤差になります
  • 寸法と厚み:小型包装に該当するか、費用区分とリサイクル判定にも影響します
  • 再生含有率:PCR比率と証明書類。30%と表示するなら由来を示せなければなりません
  • リサイクル判定:単一PE、紙ベース、紙プラ複合で結論は全く異なります。「リサイクル可能」の一言で済ませないこと
  • 印刷と後加工:ラミネート、箔押し、窓貼り、ベタ刷りは重量とリサイクル判定を変えるため、個別に記載します

5. 調達側の4ステップ

料率表が揃うのを待つ必要はありません。4ステップで費用もリスクも下がり、しかもどれも製品の見た目を変えません。

  • 棚卸し:SKUごとに3層を計量し、1点あたりの包装総重量を出します。初回で内袋が総重量の半分を占めていたと気づくことが多いです
  • 減量:不要な部材を外します。紙袋の中の薄葉紙、タグごとの小袋、ギフト箱のプラ内托など。減量は費用と材料負荷を同時に下げる唯一の打ち手です
  • 単一素材化:紙プラ複合を単一PEか純紙に、窓貼りを抜き加工に、アルミ蒸着フィルムをマットPEに。見た目の差は想像より小さいことが多いです
  • 仕様書に明記:素材構成、目付、再生含有率、リサイクル判定の4項目を標準項目とし、毎回の納品に添付します。一度きりの表では意味がありません

6. よくある3つの誤解

  • 「紙だから対象外」:紙ベースも対象で、同じくトン単位で課金されます。PEラミネート紙と純紙ではリサイクル判定も異なります
  • 「プラットフォームが処理する」:費用を源泉徴収する例はありますが、データ責任はブランド側に残ります。虚偽申告の制裁は生産者に課されます
  • 「1点あたりの費用は無視できる」:確かに小さいですが、年間トン数で積み上がり、不適合による販売停止や制裁が加わると桁が変わります
EPRが本当に変えるのは費用ではなく、包装の重量と素材が初めて計算可能になることです。重量を把握できるブランドは減量と単一素材化も最速で進み、素材構成を説明できないサプライヤーは各回の申告で外れていきます。

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