タイベック(Tyvek)とウォッシャブルクラフト紙は、ここ数年で最も注目される服飾タグ素材です。手では破れず、水に強く、衣類に縫い付けられ、ビニールのような安っぽさもありません。アウトドア、ワークウェア、デニム、サステナブル志向の新興ブランドにとって、コート紙以外でブランドの姿勢を示せる一枚です。ただし両素材の印刷と後加工は普通紙とまったく異なり、工程を誤るとインクのこすれ、箔の面剥がれ、折り目白化が起きます。本稿では素材特性、印刷適性、向く商品カテゴリー、失敗しやすい5つのポイントを整理します。
ひとことで言えば、タイベックはプラスチックでできた紙、ウォッシャブルクラフト紙は紙でできた布です。前者は連続した繊維網で引裂きに強く、後者はラテックス含浸で柔らかさと耐折性を得ます。
1. 2つの素材は何なのか
タイベックは高密度ポリエチレン繊維をフラッシュ紡糸でシート化し熱圧着したもので、繊維が連続的に絡むため手では破れず、裁断か型抜きが必要です。防水・耐薬品性があり、毛羽も出ないため、医療包装、建築用シート、宅配袋に使われてきました。タグ用途では75・105・144 gsmが一般的で、坪量が高いほど硬くなります。ウォッシャブルクラフト紙は木漿紙に天然ラテックスを含浸・乾燥させたもので、厚みは0.55・0.7・0.8 mmが定番。薄い皮革のような手触りで、洗うほど柔らかくなり自然なしわが出ます。この経年感が選ばれる理由です。
| 項目 | タイベック | ウォッシャブルクラフト |
|---|---|---|
| 組成 | 高密度ポリエチレン不織布 | 木漿繊維+天然ラテックス |
| 標準仕様 | 75 / 105 / 144 gsm | 0.55 / 0.7 / 0.8 mm |
| 引裂強度 | 非常に高く、手では破れない | 中程度、折りには強いが破れる |
| 耐水性 | 完全防水 | 表面は弾くが、長時間浸すと染みる |
| 風合い | ややプラスチック的で滑る | 皮革のようで温かみがある |
| 印刷適性 | UVデジタル・スクリーン・フレキソが中心 | オフセット・スクリーン・UVいずれも可 |
| 縫製可否 | 可能。丸針を使う | 可能。裁断端は染色できる |
| リサイクル | 受入先は限られ、堆肥化不可 | ラテックスを含み、多くは再資源化不可 |
2. 印刷と後加工の組み合わせ
両素材の表面エネルギーとインク吸収性はコート紙と大きく異なるため、量産前に工程を確定させる必要があります。試作で気づくと型から作り直しになります。
- タイベックは表面エネルギーが低く、通常のオフセットインクは定着しません。UVデジタル、スクリーン、フレキソを使います。オフセットにこだわる場合はコロナ処理かプライマー塗布が必要で、校正時に3Mテープテストを行います。
- 箔押しは低温・低圧の専用箔が必要です。紙用の箔はタイベックでは面で剥がれます。ウォッシャブルクラフト紙は箔押しが安定しますが、圧力過多だと光沢の跡が残ります。
- 型抜きは平台プレスと鋭利な型がおすすめです。タイベックをレーザー切断すると切断面がやや黄変し、ウォッシャブルクラフト紙はキャラメル色の切断面になり、これを狙うブランドも多いです。
- 折り目白化:タイベックは同じ線で繰り返し折ると白い折り跡が出ます。文字の上に折り線を置かず、折り返しの代わりに穴や異形抜きを使います。
- 穴あけと縫製:どちらの素材もハトメか補強シートを付けます。縫製は丸針で針ピッチ約3 mmにし、針穴が一直線につながって裂けないようにします。
3. どのカテゴリーに向くか
材料費は同サイズのコート紙タグの数倍になり、印刷と後加工の調整で校正期間も長くなるため、単価が高めかブランドストーリーが強い商品に向きます。アウトドアやシェル、ワークウェアとデニム、ストリートとコラボ、サステナブル志向の新興ブランド、そしてタグを栞や保証カード、付属品タグとして残したい商品です。
逆に、ファストファッションや低価格量産品には不要です。消費者はタグのために対価を払いませんが、あなたはコストと納期を余分に払います。キャンペーン、ノベルティ、価格訴求品にはコート紙や再生紙が適切です。
4. 失敗しやすい5つのポイント
- インクのこすれ:インクの硬化不足か表面処理なしが原因です。受入時に3Mテープを圧着して剥がし、白く抜けたら不合格です。
- 箔の面剥がれ:箔材と温度・圧力が合っていません。見た目だけで判断せず、サンプルと一緒に箔の密着テスト結果を求めます。
- 折り目白化:折り線は余白に置くか、折り返しをやめて一枚ものにし、穴で吊るします。
- 穴の裂け:3 mm未満の穴に綿紐で長期間吊るすと裂けます。必ずハトメを付けるか穴を広げます。
- 環境表示の失敗:素材そのものは認証ではありません。洗えることは生分解性ではなく、再生含有率には証明書類が必要です。なければ欧米顧客から表示撤回を求められます。
5. 発注前に確認する仕様
- 坪量か厚み:タイベックは gsm、ウォッシャブルクラフト紙は mm で示します。両者は置き換えできません。
- 色:タイベックは生成り白が基本で、色を出すにはベタ印刷が必要です。ウォッシャブルクラフト紙は染色可能で、生成り・黒・茶・アーミーグリーンが定番です。
- 印刷方式と色数、白版の有無(濃色素材に淡色を刷る場合は白版が必須)。
- 後加工:金・銀箔、エンボス、スクリーン、レーザー刻印、そして折り方(なし・二つ折り・異形)。
- 穴位置と径、ハトメ有無、綿紐やゴム紐の付属、縫い糸の色合わせの要否。
- 数量と校正期間:両素材は専用の材料手配が必要なことが多く、小ロット試作は通常紙より長くなります。事前確認が必須です。
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