マグネットホック、マグネット式ギフトボックス、電池を内蔵したスマートタグは、航空貨物の規則では普通の副資材とは別の区分になります。初回のサンプル発送で止まるブランドは少なくありません。出発地で磁気検査報告書や UN38.3 の提出を求められ、開発シーズンなら一週間が消えます。

本稿では三点を整理します。航空輸送で特別扱いになる副資材はどれか、0.418 A/m・2.1 m という磁気の基準が何を測っているのか、そしてサンプルと量産の両方で書類と梱包をどう整えれば一度で通るのか。

1. 特別扱いになる3つの副資材

  • 磁性金具:ネオジム磁石のホック、ギフトボックスの磁気シート、マグネット式タグ留め。保持力が強いほど航空の磁気基準を超えやすく、まとめて送ると磁場が重なって単品では通っても箱で不通になります
  • 電池付きスマートラベル:アクティブ NFC タグ、Bluetooth トラッカー、温湿度ロガー。パッシブ NFC タグはスマートフォンから給電され電池を持たないため通常は危険物扱いになりませんが、ボタン電池を入れた瞬間に規則が変わります
  • 液体・エアゾール:サンプルに同梱するインキ、シルク印刷用の薄め液、クリーナー、スプレー糊。多くは引火性液体で SDS と適合梱包が必要です。現地調達が基本で、わざわざ海外から送るものではありません

2. 磁気のしきい値:0.418 A/m・2.1 m

IATA の規則では、磁化された材料は UN2807、クラス9(その他の危険物)に分類されます。判定は吸着力ではなく、荷姿の外面から 2.1 m の位置の磁場強度で行います。0.418 A/m(約 0.005 ガウス)以下なら一般貨物として受託でき、超えると危険物申告、特殊運賃、専用梱包が必要です。この数値は吸着力とは無関係です。カード2枚を留める程度の小さなホックでも、箱の中で磁極の向きがそろっていると箱全体の測定値は基準を超えます。

  • 誰が測定するか:第三者試験所または認定機関が IATA の方法で測定し、磁気検査報告書を発行します。通常は荷姿と数量ごとに発行され、有効期間は報告書の記載に従います
  • 測定が必要な場面:ネオジム磁石、マグネット式ギフトボックス、まとめたホック注文、そして航空便を指定されたすべてのロット。ギフトボックスの薄い磁気シートのような弱磁気なら、まず小口で試し送りできます
  • 測定値を下げる方法:磁極を交互に配置する、単品の間に隔離材を入れる、ブリキや亜鉛めっき板の遮蔽箱を使う、1箱あたりの数量を抑える。いずれも数値は下げますが、報告書の代わりにはなりません

3. 電池付きスマートタグ:UN38.3 が入場券

電池を含む貨物を航空で送る場合、最初に求められる書類は必ず UN38.3 試験概要です。高度模擬、温度サイクル、振動、衝撃、外部短絡など8項目に合格したことを示します。電池が機器に組み込まれ、リチウム含有量やワット時が基準内の場合に限り緩和された条文が使えます。電池単体、または機器内でも数量が多い場合はすぐ厳しくなります。リチウム金属電池とリチウムイオン電池は適用条文の番号が異なり、混用はできません。

実務でより多い落とし穴は「電池は入っていない」という思い込みです。温湿度ロガー、Bluetooth トラッカー、光るタグにはボタン電池が入っていることがあります。印刷物として衣料と一緒に送り、空港で開梱検査されて荷物全体をやり直すことになります。

4. サンプルと量産の実務チェックリスト

  • まず輸送手段を確認:クーリエ、航空貨物、海上輸送では規則がまったく異なります。クーリエは独自規定で航空貨物より厳しいことが多く、梱包前に担当者へ該当品目の受託要件を確認します
  • 書類三点セット:磁気検査報告書(磁性品)、UN38.3 と SDS(電池品)、成分と用途の説明(全品)。インボイスの品名は具体的に書き、samples や gift で済ませないこと
  • 梱包を整える:磁石は極を交互に、品物の間に隔離材を入れます。電池は短絡防止(純正包装、端子へのテープ、仕切り)を徹底し、外箱に数量と正味重量を明記して1箱に詰め込みすぎないこと
  • 余裕を持つ:初回出荷は2〜3営業日の余裕を見ます。磁気検査も危険物申告も予約制です。顧客が急ぐ場合は、磁気なしの確認サンプルを小口で送り、量産は正規ルートで運びます

5. 設計段階で避けたい3つの選択

  • 軽い構造に強磁石:紙箱の質感のためにネオジム磁石を使うことがありますが、実際に必要な吸着力はわずかです。薄い磁気シートやマグネットクロージャーに変えれば測定値もコストも下がります
  • アクティブタグを印刷物扱い:衣料用途の多くはパッシブ NFC で足ります。スマートフォンを近づければ読め、電池がなければ UN38.3 も航空制限もありません
  • サンプルにインキと糊を同梱:調色用の薄め液やスプレー糊を一緒に送るのは最も止められやすい組み合わせです。現地で1本買うほうが、荷物全体を返送するよりはるかに安く済みます
💡 ヒント:磁性品と電池品のトラブルはほぼ開発段階で仕込まれます。出荷時に慌てると、構造変更か航空便から海上便への変更になります。見積り段階で「磁石あり/電池あり」を仕様の一部として明記するほうが、後から説明するよりはるかに楽です。

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