タグの単価は紙代と印刷ロスが大半を占め、そのどちらも「面付け」で決まります。同じ 50×90mm のタグでも、紙取りサイズや並べる向きを変えるだけで紙の使用量が一割以上変わることがあります。本ガイドは紙取り、くわえ代、塗り足し、紙の目から、混在面付けや異形抜き型までを解説し、見積り前に面付け条件を固めて、品質を落とさず単価を下げる考え方を示します。
面付けは印刷会社の内部事情ではありません。最低発注量の下限、納期、そして異なるサイズや版をまとめて生産できるかどうかを直接決めます。この数点を仕様書に明記すれば、複数サプライヤーの見積りを比較できるようになります。
1. 面付けがタグ単価を決める理由
- 紙の使用量:同じ仕様でも歩留まりを 70% から 85% に上げれば、1 平方メートルあたりの紙の実質コストは約一割五分下がります(サイズと余白により変動)
- 段取りと製版:1 版に多く並べるほど、1 枚あたりが負担する段取り費と製版費が下がります。小ロットほど効果が大きくなります
- 抜きと断裁:密に並べるほど抜きと断裁の工数は減りますが、刃の間隔が不足すると欠けや断刀が起こります
- ロスと許容差:面付けを詰めるほど、見当ずれや抜き誤差の許容が小さくなります。薄紙と厚板紙では最適な並べ方も異なります
2. まず決める三つ:紙取り、くわえ、塗り足し
| 項目 | 意味 | 一般的な値 | タグへの影響 |
|---|---|---|---|
| 紙取りサイズ | 印刷機で使える全紙サイズ。規格寸法または特注寸法 | 中国では 787×1092mm と 889×1194mm が一般的。輸入板紙は 700×1000mm や 720×1020mm が多い | 1 版に何個並ぶかを決める、歩留まりの第一変数 |
| くわえ代 | 印刷機のくわえが掴む領域。絵柄や文字は置けません | 約 8〜12mm | 印刷可能面積を削り、幅の狭いタグで影響が大きくなります |
| 塗り足し | 断裁線より外側に伸ばす絵柄 | 各辺 2〜3mm、抜きタグは 3mm を推奨 | 塗り足しが不足すると、断裁のばらつきで白い縁が出ます |
| 安全余白 | 重要な文字・ロゴ・バーコードと断裁線との距離 | 断裁線から 3〜4mm 内側 | 断裁誤差がロゴやバーコードに及ぶのを防ぎます |
| 紙の目 | 板紙の繊維の流れ、いわゆる目 | 長辺を目に沿わせる | コシと反りに影響し、逆目では端が浮きやすくなります |
3. 歩留まりの計算:二つの数字を比べれば分かる
計算式は単純です。正味の歩留まり = タグの面積 × 1 版の個数 ÷ 用紙面積。50×90mm のタグなら、各辺 3mm の塗り足しを加えて 1 個あたり約 56×96mm。787×1092mm では 14×11=154 個で歩留まり約八成、889×1194mm では 15×12=180 個ですが歩留まりはわずかに低くなります。紙が大きいほど得とは限らず、仕上がり寸法が紙取りにきれいに収まるかが鍵です。
- 紙取り 2 種 × 向き 2 通りを試す:四つの数字を並べれば、最適な組み合わせはおおむね一目で分かります
- 異形は外接矩形で見る:丸型・ハート型・ベル型は外接矩形で場所を取るため、同寸法の矩形より歩留まりが 5〜15% 低くなります
- 小ロットほど不利:くわえと余白は固定の消費で、数量が少ないほど総紙量に占める割合が上がります
4. 混在面付けと版の共用:削減の限界
- 混在できる条件:同じ用紙、同じ坪量、同じ加工(ラミネート・箔押し・UV は同一工程で処理)、版ごとの数量比が近いこと
- 効果:段取り費・製版費・ロスを複数版で分担でき、数量が最も少ない版の単価が最も下がります
- 代償:断裁と検数の工数が増え、混在リスクが上がり、単一版の追加発注は全体の段取り待ちになります
- おすすめ:混在面付けを仕様書に明記し、版ごとの数量、許容する面付け比率、分切りの納品方法を記載します
5. 異形と抜き型が面付けに与える影響
- 刃の間隔:通常 3〜5mm の連刃スペースを取ります。狭すぎると欠けや断刀を招き、かえってロスが増えます
- 捨て型・連刃:捨て型は型代を抑えられますが抜き回数と工数が増えます。形状差が大きい混在に適します
- 角の丸み:鋭角はすべて R2〜R3 に。手を傷つけず、抜き時の欠けも減ります
- 穴とハトメ:穴の縁からタグの縁まで 6〜8mm 以上を推奨。不足すると引張試験で穴から破れます
6. 面付けが最低発注量と納期に与える影響
- 最低発注量の下限は、1 版分の個数か、全紙 1 枚から裁断できる最小数量になることが多いです
- 版の保管期間内なら、追加発注は抜き型と印刷版を再利用でき納期は短くなります。1 版未満の追加は面付けの段取り待ちになります
- 用紙や坪量を変えると面付けを計算し直すため単価が変わります。同一シリーズでは用紙と坪量を固定するのが得策です
- 繁忙期(8〜11 月)と春節前は段取りが混み合います。早めに枠を押さえる方が、直前の割り込みより安く済みます
7. 見積り時に伝える項目:比較できる見積りのために
| 項目 | 記入内容の推奨例 |
|---|---|
| 仕上がり寸法 | 縦×横(公差含む)、異形抜きの要否、角の丸み半径 |
| 用紙と坪量 | 例:コートボール 350g、クラフト、再生板紙。迷う場合は 2 種の紙で面付けと見積りを比較 |
| 印刷と加工 | 色数、片面か両面、ラミネート(光沢/マット)、箔押しの位置と面積、部分 UV |
| 数量と版 | サイズ別・ブランド別の数量、初回発注量と年間予測 |
| 抜き加工 | 平断ち・異形、穴あけとハトメの要否、穴径と位置 |
| 吊りひもと留め具 | 素材、色、長さ、同一サプライヤーで通し加工するか |
| 納期と納入先 | 希望納入日、分割納品の有無、国内便か輸出混載か |
💡 ヒント:同一シリーズを共通サイズでまとめれば、段取り費・製版費・ロスを薄く配分できます。逆に 1 型だけ寸法や用紙を変えると面付けを別計算するため単価が跳ねます。変更前に前後の比較見積りを取り、妥当かどうかを判断してください。
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