衣料品包装のコスト構造を一度も真面目に計算したことのないブランドが大半です。タグはA社、袋はB社、紙袋はC社と個別に見積り、それぞれ数ポイントを削って組み合わせる。しかし小売価格に占める包装総額、版代を何枚で割るか、どの項目が不要だったかは計算していません。その結果、費用はかかったのに包装は統一感を欠いたままになります。

以下はそのまま使える計算手順です。6つの資材にコストを分解し、小売価格帯ごとに予算比率を決め、一時費用と変動費を分け、見積りの比較条件を揃え、どの段階で予算をタグから袋へ移すべきかを整理します。

1. まず6つの資材に分解する

包装はひとつの品目ではありません。6つの資材はそれぞれ価格の決まり手が違い、一枚の見積書で比較すると最も間違えやすい。とくに版代込みの単価と版代別の単価を並べると危険です。

資材コストの主な決定要因一時費用
タグ紙の坪量と品種、刷り色数、後加工(箔押し・エンボス・ラミネート)印刷版代と抜き型。異形は別途
主表示と洗濯表示織り密度または印刷方式、寸法と折り、糊付けやコーティングの有無織りネームの版代は色数と密度に比例。印刷ネームは一般に安価
内袋材質と厚み、印刷の有無、警告表示と通気孔印刷版代。1色と多色で大差はない
紙袋紙と坪量、手提げの種類、表面加工と構造(底板の有無)抜き型と版代。特注の織り手は別途
付属資材(シール・帯・薄葉紙)寸法と数量。単価は安いが総量を見落としやすい少額の版代、または不要
サンプルと物流サンプル数と回数、輸送方法と容積重量サンプル費は量産時に相殺されることが多い

2. 小売価格帯ごとに予算比率を決める

同じ資材構成でも価格帯が変われば妥当な比率は大きく変わります。以下は包装総額の内訳であり、絶対額でも衣料原価でもありません。顧客が実際に触れる部分にお金が向いているかを点検するために使います。

  • 量販・EC即応型:内袋と段ボールの比率が最も高く、タグは簡素。量産性、コスト安定、補充の速さが優先です
  • 中価格帯ブランド:6項目がほぼ均等。タグと主表示がブランド識別を担い始め、加工は目新しさより安定性を優先します
  • 高価格帯・ギフト:紙袋・帯・シールなど開封層の比率が明確に上がります。タグは特殊紙と後加工を使えますが、最初に見える一枚に予算を集中させないこと

3. 一時費用と変動費は必ず分けて計算する

版代、抜き型、サンプル費は一時費用で、単価への影響は数倍単位です。同じ版代でも3,000枚と30,000枚では1枚あたり10倍の差になります。安く見える2社目は、前提数量が違うだけのことが多い。一時費用を別項目にしておくと、返単時に単価がどこまで下がるべきか分かります。

4. 見積条件を揃える:必ず確認する5項目

3社の見積りが3割違うのは、安いのではなく条件が違うからです。次の5項目を揃えれば、差は妥当な範囲に収まります。

  • 税込みかどうか、税率、請求書の種類(輸出案件では還付にも影響)
  • 運賃の有無、輸送方法、納品場所(工場・倉庫・港)
  • 版代と抜き型が別建てか、返単で再利用できるか、所有権が契約に明記されるか
  • 最小ロットと過納・欠納の扱い(副資材では5〜10%の数量公差が一般的)
  • 包装と梱包数、SKU 別の結束の有無(入庫工数と開梱ロスに直結)

5. 予算をタグから袋へ移すべきタイミング

タグは開封前に見え、内袋と紙袋は開封の過程で触れます。ECでは商品ページと宅配袋が第一印象、店頭やギフトでは紙袋と箱が最初の手触りです。顧客が実際に触れる部分へ予算をずらすほうが、均等配分より合理的です。タグを400gから350gに落として浮いた費用で、普通のOPP袋をブランド印刷入りのマット袋に替えられることが多い。

6. サンプル前に確定できる予算表

使える予算表は4列で足ります。資材、仕様、一時費用の償却を含む単価、1着あたりの比率。記入後に2つの確認をします。総額を小売価格の%に直し、同じ価格帯の通常範囲に入るか。もう一つは数量3割で単価を再計算し、初回が版代償却で割高になっていないかを見ることです。

包装予算の本当の敵は単価の高さではなく、6つの資材が個別に動くことです。それぞれを別々に値切ると、安く見えて統一感のない包装が残ります。

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